歌舞伎の定式幕の色は

歌舞伎観劇に行ってきました。

コロナ禍で3月くらいから中止になっていた演劇界

9月からようやく再開されてきたようで、

再開公演の御園座の新聞広告が目に入り、応援も兼ねて行ってきました。

実は歌舞伎は初観劇で、チーフに連れられてです。

公演は、コロナ対策がしっかりされていました。

検温や密を避ける誘導はもちろん、
長唄囃子の方々もマスクをしての演奏と、

横笛の奏者も特殊な専用マスクをしていたのは驚きでした。

ロビーに、
掛け声(大向こう)の禁止の張り紙があり、舞台中には一切ありませんでした。

その分、拍手の量が多かった印象で、

ご贔屓さんであろう最前列の方々は、「連獅子」の毛振りの場面では、

はち切れんばかり拍手を俳優に送っていました。

演目は、
下町ロケットでイモトの上司役で出ていた尾上菊之助と中村萬太郎の「連獅子」と、

「鐘ケ岬」という艶やかな踊りでした。

歌舞伎
2つの演目の間に、

「歌舞伎のみかた」という歌舞伎のイロハを解説をしてくださるコーナーがあり、
歌舞伎初心者にとっては嬉しい時間でした。

歌舞伎

その中で、幕の紹介があり、仕事柄興味深く聞き入りました。

開幕や終幕に使われる幕は、特有の3色になった人力で引かれる引幕で、

これを「定式幕」と呼んでいる。

早く引いたり、ゆっくり拍子木にあわせて引いたりして、舞台にあわせて演出するもので、
実際にその引き方を実演されました。

面白かったです。

この定式幕自体は、
撮影禁止と商標権にも触れるので、
お弁当屋さんでもらった紙袋に印刷されてたもので紹介しますと、

このような3色使いの幕を、舞台の右から左に「幕引き」さんという専門職さんが引いています。

御園茶屋紙袋

3色は、
左から、黒 柿 萌葱(もえぎ・濃い緑)の色を使っているとのことです。

定式幕の色
説明を聞きながら、

過去に勉強したインテリアコーディネーター試験に、
この色の事が出題されていた事を思い出しました。

あと幕といえば、緞帳も見逃せません。

緞帳は、上下に電動で開閉する舞台幕のことで、

ここ御園座は2018年に建て替えられ、新たに新調された緞帳が3帳あるようです。

今日はそのうちの一つ

天女が舞う

地元の洋画家、故杉本健吉さんの絵を原画にした
「天人奏楽」が吊られていました。

金糸が多く使われているのか、2階席にまで輝きがわたっていました。

天女の姿が浮き上がってみえ、美しかったです。

御園座緞帳

緞帳つながりで、
緞帳修理を、過去に請け負った事がありました。

緞帳修理
設置して20年以上経過した、近くの小学校体育館の緞帳修理です。
緞帳修理

修理ヶ所は、

裾裏に縫い付けたあるバーの袋と、裏地が垂れ落ちた補修で、移動ミシンで縫う作業

バーを適切な長さに切断、袖幕移動・ホコリ除去

以上をしました。
緞帳修理

舞台幕を専門に扱う業者さんによるもので、

丸一日の作業となりました。

劣化による不具合ヶ所の修理をして、
緞帳を蘇えらせるお仕事でした。

緞帳

この御園座の建物の紹介もしますと、

隈研吾さん設計によるもので、
朱色を基調にしていて、

エントランスからロビーまで、そしてトイレの壁にもこの朱色が多用してありました。

名古屋の活気や勢いを象徴するような明るくていい色、広げて使用したとのことです。

御園座

外装は、なまこ壁が表現されて、伝統的な趣も醸し出していました。

壁にLEDが仕込まれています。

御園座

以上、
再開となった御園座の歌舞伎公演と幕、建物を紹介させて頂きました。

では、幕引きです。

幕引き
ありがとうございました。